中國福建省南西部の山岳地域にあり、梅花のような美しい建築群、福建土樓。土樓は、客家の人々が、安住のために築き上げた要塞のような城壁に囲まれた建築物である。12世紀から今日まで約900年の歴史を持っている。土樓は通常、長方形か円形をしており、厚い土壁(180センチ以上)と木の骨格から成る。高さは3階か5階、80家族以上が生活している。
土樓は、対等な共同生活を送るモデル住居として、獨特の特徴を持つ。 すべての部屋は同じサイズ、同じ材料、同じ內裝で造られている。土樓は通常、1つの家が數世代で占有する。一族が大きくなると、土樓を同心円狀に建て増したり、すぐ近くに土樓を建て増して土樓群を造ったりした。こうして、一族はすぐそばにとどまり続けるのである。生活と防衛の機能を完璧に調和した、土樓はそれなりの獨特な風情で人々を引き込んでいる。
永定土樓は福建土樓群の代表作と言えよう。その中に、振成樓、承啓樓と遺経樓はその典型的なものである。
振成土樓は中國伝統的な八卦を模して作られた。面積は約5000平方メートル、雍和宮、長城と共に3大建築として知られる。內部には220の部屋があり、今でも數百人が普通の生活を営んでいる。
承啓樓は《圓樓之王》の別名があり、1986年発行の、中國1元切手の図柄にもなっている。この承啓樓の切手が最も人気があったという。承啓樓(円樓)のすぐ隣には、世澤樓(方樓)、五雲樓(方樓)と、3軒並んで建っている。何れも、江氏一族の樓である。
■南靖土樓
南靖土樓は永定県よりも新しく、20世紀に入って作られたものが多い。南靖県の多くの土樓は永定県の土樓建築職人が指導して造られたと言います。南靖土樓は田螺坑土樓群、裕昌樓、和貴樓、河坑土樓群から構成されている。
田螺坑土樓群は円形土樓3つ、楕円形土樓1つ、方形土樓から成るので、「四菜一湯」とも言われる。空からみると、山間の景色の中に、美しい梅花のようである。かつてアメリカ軍の衛星に発見され「中國の核ミサイル施設ではないか?」と誤爆されそうになったという話もある。
裕昌樓は直徑36mの中型の円樓で、300年以上の歴史を持つ古い円樓である。老巧化して柱などが15度傾いており、この円樓の特徴は5階建てで円樓としては珍しい物である。