山西省の五臺山、四川省の峨眉山(=普賢菩薩の道場)、安徽省の九華山(=地蔵王菩薩の道場)、浙江省の普陀山(=観音菩薩の道場)から成る中國仏教4大名山。シリーズ「中國四大仏教名山」、第1回は「五臺山」をご紹介する。
五臺山(ごだいさん)は、山西省五臺県に位置し、4世紀から19世紀にかけての仏教建築と、獨特な自然との調和が綺麗な景観を作り上げている。中國仏教四大名山の中で、五臺山は仏教建築の悠久さや規模の大きさをもって、四大名山の最上となり、「金五臺」と評価される。2009年にユネスコの世界遺産に登録された。
五臺山の地形は「釈迦の掌」と比喩される。五本の指は五つの嶺。それに囲まれた手のひらに寺院が點在する。指といっても3000メートル級、掌といっても2000平方キロメートル。仏教の聖地とされていたため、北魏の時(386~557年)から大浮図寺を建てるのを皮切りに、多數の山岳寺院が建立された。唐(618~907年)に最盛期を迎え、約300寺院が林立したが、その後幾度の盛衰を経って、今には約50の寺院があり、有名なものは、顕通寺(けんつうじ)、塔院寺( とういんじ)、菩薩頂(ぼさつちょう)、廣済寺(こうさいじ)、萬佛閣(ばんぶつかく)などがある。中でも、顕通寺は洛陽の白馬寺とともに、中國現存する最古の寺院と並稱される。その無量殿は無梁という獨特な建築様式を有し、高い蕓術価値に富んでいる。雄大な寺院が1000年以上にわたって聳え立ち、中に精緻な壁畫、彫刻、書道、銅鐘が殘り、仏教蕓術の寶庫と言えるだろう。
また、五臺山は中國で唯一仏教とラマ教の二つの宗教を兼ね備えた道場であるため、チベットや內モンゴルの少數民族からも崇めらている。毎年ラマ教は「鬼やらい」、漢伝仏教は「水陸大法會」などの行事を催し、獨特な交わる仏教文化景観を作り出している。塔院寺は典型的なラマ教や仏教の建築様式をかね合わる寺院であると言えるだろう。中の大白塔が全體真っ白で、古めかしく優雅さであり、五臺山のシンボルとして、「清涼第一の聖境」と稱される。
昔日本から派遣した遣唐使の多くが、この山を訪れた。唐の時代(618~907年)には慈覚大師円仁が、そして北宋時代(960~1127年)には成尋僧正がいる。今の竹林寺には「日本天臺入唐求法沙門円仁慈覚大師御研鑽之霊跡」の石碑が殘っている。