水墨畫の世界 桂林 広西チワン族自治區の北東に位置する桂林市は、中國を代表する景勝地として広く知られ、その風景は古來より「桂林山水甲天下」(桂林の山水は天下一)、「山水畫の世界」、「桃源郷」などと詩に多くうたわれ、水墨畫に描かれてきた。 現在桂林は、中國國家歴史文化名城に指定され、世界中から毎年多くの観光客が訪れる。市內に南北に流れる漓江の水質は澄んでおり、全長426キロメートルの河を遊覧船に乗り、約4時間かけて南の陽朔まで下る「漓江下り」は桂林観光のハイライトだ。漓江の両岸にはカルスト地形が創りだす獨特の奇巖奇峰がどこまでも連なり、そのダイナミックで壯大な景観を観ていると、まるで絵畫の中にいるような感覚にとらわれる。 桂林を訪れたら、少し足を延ばして、桂林市から120キロメートルほど離れた龍勝各族自治県を訪れてみるのもお勧めだ。ここには、ヤオ族、ミャオ族、トン族、チワン族などが暮らしていて、龍勝の棚田は元の時代から、およそ650年以上の歴史があると言われ、一見の価値はある。 棚田は300メートルから1000メートルの間に分布しており、その細かく段になっている様子は龍の姿に見えると言われる。棚田の至る所に山からきれいな水が流れ込み、その無數のせせらぎを背景に少數民族の山歌が響く様子はなぜか、少し懐かしい気持ちにさせてくれる。