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紹興という町の名前を聞いて思い浮かべるのは、第一に紹興酒、その次に、中國の大文豪?魯迅(ろじん)であろう。魯迅は紹興で生まれ、18歳までこの町で過ごしていた。今回は江南地方の水郷の町?紹興を散策し、文豪の故郷に觸れていこう。
■近代文學の父•魯迅
日本人にもなじみの深い魯迅。清末に生まれた彼は、醫者として人に盡くしたいという希望から、日本の仙臺醫學専門學校(現在の東北大學醫學部)に留學した。當時の日本はちょうど日露戦爭に勝利し、自由で活気ある雰囲気があふれていた。それに刺激された魯迅は、封建社會のくびきから抜け出せずにいる母國に大いに失望し、中國人を救うのは醫學による治療ではなく、文學による精神の改造だと考えるようになる。その後、舊態依然とした社會を批判する小説を次々と世に出し、清朝崩壊の呼び水となった。代表作に「阿Q正伝」、「狂人日記」、「故郷」、「藤野先生」など多數ある。
■魯迅ゆかりの町
水路や石橋、古い民家が織り成す水郷の風景。紹興の一番の見所は魯迅故居である。魯迅の生家を中心に、作品の中で描かれた百草園などいくつものゆかりの場所も見られる。
百草園というのはいわば家庭菜園であり、中國では知らない人はいないほど名高い。「青々した野菜の畦(あぜ)、つるつるした石の井戸枠、大きなサイカチの木、紫色の桑の実はいうまでもない。蟬が葉の茂みで鳴き、肥えた黃蜂が菜の花に止まり、すばしこい雲雀(ひばり)が、ふいに草むらから一直線に空の果てに飛び立つことなんかもいうまでもない」と、魯迅が「百草園から三味書屋へ」の中で描いている。ここ百草園は、自然と戯れる魯迅の子供時代を想起させてくれる。
咸亨(シエンハン)酒店はもう一つの見所。魯迅の叔父が1894年に開業した造り酒屋で、小説「孔乙己(こういっき)」の舞臺として名をはせてきた。科挙になかなか合格できない知識人?孔乙己が毎日酒を飲みに來る話であるが、現在では最高の紹興酒と本場の浙江料理が味わえる酒店として、世界中の観光客で連日のにぎわいを見せている。
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