2012年3月6日、春も間近に近づいているこの季節、“この世の秘境”と呼ばれる中國內陸部の雲南省は旅のベストシーズンを迎えている。複雑な地形、雄大な自然、多様な気候、豊富な動植物―雲南省は“自然の博物館”とも呼ばれている。その見逃せない見所のいくつかをご紹介する。
■世界遺産の麗江古城
麗江古城は雲南省北部に位置し、萬年雪を頂く玉龍雪山のふもとに少數民族であるナシ族獨自の古い町並みが広がる。黒龍潭から流れる水が水路を伝って町中の家々へ屆き、そのため、354本の橋が水路をまたいでいる。山と川に沿うように走る道は、色とりどりの石で敷き詰められている。長い歴史を持つ素樸な町並みは自然と融和し、漢族?ペー族?イ族?チベット族など多民族の伝統的な文化が今も息づいている。1997年、世界文化遺産に登録され、人々の理想郷として重要な観光都市になった。
■“風花水月”の大理
麗江と並んで最も人気のある観光地?大理。雲南省中西部、[シ耳]海と呼ばれる湖の西岸に位置する。大理は“風花水月”という言葉で形容され、すなわち「下関の風、上関の花、蒼山の雪、[シ耳]海の月」の4つの風物を指す。1年のはじめ、大理でその4つの風物を一緒に體験するのが人生の楽しみと言われている。
■植物の王國、シーサンパンナ
春の訪れるその時期、旅先として真っ先に選びたいのはやはり、植物の王國?シーサンパンナ。雲南省の南の辺境に位置し、東にラオス、西にミャンマーと隣接する。ここを訪れると、誰もが既に東南アジア圏へ足を踏み入れたことを実感する。タイ文化の影響も色濃く、獨特な風俗習慣や建築様式などが至る所で感じられる。省內に多數存在する各少數民族の文化を紹介する民族風情園では、生い茂るジャングルの中を野生の象がのんびりと歩き回り、孔雀が華やかに尾を広げる。ここでまるで絵のような美しい大自然を體験できる。
■必ず食べたい地元名物、過橋米線
過橋米線は雲南が誇る名物料理である。表面が油に覆われているスープを土鍋で煮立て、米で作った麺“米線”と、野菜や中國ハムなど生の食材を入れ、スープの熱で具を加熱調理して食べるのが特徴である。100年以上の歴史を持つ料理で、伝えられるところによると、雲南省にある小さな島で科挙試験勉強にいそしむ夫のために、妻が橋を渡って(=過橋)米線を屆けてきたという美しい昔話がある。美味しくて栄養もたっぷり、あっさりとした塩味で日本人の口にも合う一品である。